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漢方Q&A

<お悩みの症状についての症例やよくいただくご相談集です>

  • Q

    大人になってアトピーが再発しました。

    症例:妊娠中のアトピー性皮膚炎

    39歳 女性(妊娠6ヶ月)/156cm・65kg


    【主訴】

    幼少期(3歳頃)から肘や膝の関節部にアトピーがあったが、成人後は寛解していた。
    しかし、結婚後に引っ越しをしてから顔に再発
    その後、首・胸部・上肢・下肢へと拡大し、とくに腕と顔の症状が強い

    日中1~2回、顔や前腕が爆発的にほてり、強いかゆみが起こり、タオルで押さえて掻いてしまう。
    夜中も2〜3回、同じように顔のかゆみで目が覚め、掻き壊してジュクジュクになる
    以前は多量の浸出液が出ていたが、次第に乾燥が強くなり、皮膚は熱く厚くなり、
    まるで「象の皮膚」のような状態であった。

    背中だけはきれいで、発疹がない。


    【体質・随伴症状】

    • 熱がりだが、あまり汗をかかない

    • 朝5時ごろ乾燥でかゆくなる

    • 就寝時、体が温まると強いかゆみ

    • 甘い物が大好き(ケーキ・カステラなど)

    • 便通:1日おき(やや便秘気味)

    • 尿は出にくい

    • 妊娠6ヶ月

    • 舌:淡紅・胖大・歯痕あり、苔薄白

    • 脈:弦


    【治療経過】

    H19.2.21 エキス剤処方開始
    H19.3.19 顔や腕の赤みが減少。入浴で温まっても悪化しなくなった。
    H19.4.21 頭皮が乾燥・亀裂・かゆみ悪化 → 処方変更。
    H19.4.27 顔の湿疹が改善、「久しぶりに明るい顔」となる。
    H19.6.6 皮膚がきれいになってきた。

    H19.7.8 出産。
    3216gの健康な女児を出産(アトピーなし)。
    母乳とミルクの併用。
    暑い時期で冷房生活を送るが、腕や顔の皮膚は白くなり、
    以前の「象の肌」状態は改善。

    H19.10.3 「肌がすごくきれいで調子がいい」と本人談。
    爆発的なかゆみはなく、軽度の乾燥のみ。
    H19.11.7 乾燥が強く皮膚が落ちる感じ → 保湿と処方調整。
    H19.12.5 冬の乾燥で赤み・かさつき・かゆみやや増加。
    H20.1.16 夫の海外出張をめぐるストレスで再燃。
    顔・眉・首・上胸部に浸出液と強いかゆみ。
    精神的安定の重要性を説明。
    H20.2.6 見違えるほど改善し、皮膚は正常化。


    【考察】

    本症例は、**妊娠による体質変化(血熱・湿熱)**と、
    **甘味過多・情動ストレスによる肝鬱化火(かんうつかか)**が重なり、
    皮膚に熱と湿がこもった典型的なアトピー性皮膚炎である。

    また、出産・授乳後も悪化せず、体質の根本が整ったことを示す。
    感情の動きが皮膚に反映されること、食生活と心の安定が治癒を支えることを教えてくれる症例である。


    【患者の言葉】

    「顔を見られるのがつらい毎日でしたが、
    漢方を飲み続けて、妊娠中も出産も無事に迎えられ、
    子どもも健康で本当にうれしいです。」

  • Q

    激しい失神発作がおきます。

    症例:めまい・洞不全症候群・高血圧・高コレステロール血症

    64歳 女性 162cm・61kg


    【主訴】

    毎朝、目を開けると気分が悪く、急にふらついて起き上がれない。
    脈拍が50回/分以下になると作動するはずのペースメーカーが作動せず、40回/分前後に低下することがある。
    その際、死の恐怖を感じるほどの失神発作が起こる。
    一日中、心臓が止まるのではないかという強い不安感とめまい感が続いていた。

    医師からは「もう治療法はない」と言われ、息子(医師)と婿(医師)に相談しても改善の見込みがないため、当院を紹介され受診した。


    【既往歴】

    • 高血圧

    • 高コレステロール血症

    • 洞不全症候群

    • 徐脈による失神発作

    • 不眠


    【経過】

    • H16年11月 ペースメーカー装着

    • H18年6月 不整脈で入院。
       ペースメーカーが作動しない原因は不明のまま退院。

    • 30年前からめまい発作があり、時に失神。


    【現症】

    • 心窩部・後頭~頂部に違和感

    • 夜に横になると、頭が熱くなり、左顔面と両手の小指・薬指にしびれ

    • 朝起きて動くと、心臓が止まるような感覚があり、測定器もエラーを表示する

    • めまい時には血圧190前後、通常時でも170/90

    • 不眠(安定剤で入眠可)

    舌診:淡紅、苔白膩
    脈診:弦細
    体質:やや熱がり、神経緊張型


    【治療経過】

    H19.6.22 初診・漢方エキス剤処方。

    翌日、全身がフラフラし脱力感を感じたが、
    右下腹部がゴロゴロと動き、ガスがよく出た。

    H19.6.24 **
    ガスが抜け、便通が3回あり腹部スッキリ。
    この日から
    頭のふらつきと心臓の不快感が消失。**

    H19.6.25〜29
    初めて心臓を意識しない日常生活が送れた」と喜ぶ。
    以後も順調に通院し、めまい・不整脈・不眠ともに改善が続いた。


    【考察】

    本症例は、ペースメーカーを装着しても改善がみられなかった洞不全症候群と不安・めまい・自律神経失調に対し、
    漢方で**「気血の巡りを整え、上衝を鎮める」治療**を行った結果、著効を示した例である。

    漢方医学的には、長年の緊張・不安・過労により
    肝気鬱結(かんきうっけつ)→気の昇降失調」が起こり、
    心神が乱れてめまいや動悸、頭熱感、しびれが生じたと考えられる。

    初期反応として腹部が動き出し、腸気の滞りが解消するとともに、
    胸のつかえ・脈の不安定が改善した。
    この「腹から動き始めた」変化は、漢方的に非常に重要な治癒サインである。


    【患者の言葉】

    「毎朝、心臓が止まるのではと怖くて眠れなかったのに、
    今は普通に生活できています。
    心臓を意識せずに過ごせるのが本当に幸せです。」

  • Q

    帝王切開術後に下腹部に圧痛があります。

    症例:術後腹膜癒着による偽嚢腫とリウマチ

    40歳 女性 162cm・54kg


    【病歴・主訴】

    9年前の出産時、帝王切開後に縫合不全と化膿を起こした。
    6年前には腹水と癒着による再手術を受け、その後から子宮の裏に2つの偽嚢腫が生じ、婦人科で経過観察を続けていた。

    来院時は、右下腹部(骨盤部)の強い圧痛があり、ガードルやズボンを履くこともできず、
    「一日中、何をしていても下腹部が痛い」と訴えていた。


    【全身状態】

    • 身体は熱がりで、首から上に汗をかく(上熱)

    • 腰から下は冷える(下寒)

    • 偏頭痛あり

    • 坐骨神経痛・こむら返り

    • 疲れやすい

    • 皮膚乾燥、口内炎

    • 夜間尿1回

    • 食欲はあるが、甘いものを食べると胃もたれ

    • 軟便2~3回/日(細く長い便)

    • 生理周期24~23日、生理痛やや強い

    • 睡眠は浅く、何度も目が覚める

    • 月経前2~3日〜初日に、こめかみや頭頂部がズキンズキンと痛む

    舌診:淡紅、やや胖大、苔薄白膩
    脈診:弦


    【治療経過】

    H19.5.17 初診・煎じ薬開始
    → 1週間で夜中に目が覚めなくなり、便通も改善。
    → ただし、上半身の汗が多いため処方を微調整。

    H19.6.22
    → 漢方を飲むと癒着の痛みが軽減。
     薬を切らすと痛みが出るため継続。

    H19.6.28
    → 多忙でも疲れず、便通も安定。
     体調全体が上向く。

    H19.9.6(約3ヶ月後)
    → 痛みが完全に消え、ガードルやズボンも履けるように。
    → 市民病院で検査したところ、子宮裏の偽嚢腫が完全に消失。
     主治医から「もう来なくてよい」と言われる。

     > 「誰に治してもらったの?」と医師に尋ねられ、
     > その後、その先生から漢方治療の紹介が来るようになった。


    【続発する関節リウマチへの治療】

    その後、患者は「手の指のこわばりと関節痛」を訴えた。
    第2関節と一部第1関節が腫れ、手首にも痛み。足の裏の骨も痛む。
    両手足の掌・足底はポカポカと熱をもつ。

    H19.9.21 処方を強化。
    H19.10.4 痛み・こわばりが明らかに軽減。
    以後、順調に経過している。


    【考察】

    本症例は、帝王切開後の癒着性疾患に対し、
    血流を改善し「癒着による気血の滞り」を解消する治療を行ったものである。

    漢方では、こうした術後癒着を**「瘀血(おけつ)」と捉え、
    血流をめぐらせることで
    癒着組織の縮小・吸収**を促す。
    同時に、下腹部の冷えと上半身の熱(上熱下寒)を整えることで、
    体全体の循環が改善し、結果として偽嚢腫の自然吸収が起こった。

    その後現れた関節リウマチも、「瘀血」と「熱毒」を中心に治療し、
    短期間で可動域・痛みともに改善した。


    【患者の言葉】

    「何年もズボンが履けなかったのに、今は普通に動けます。
    検査で“もう治っています”と言われて本当に驚きました。」

  • Q

    季節の変わり目に肌の乾燥とかゆみがあります。

    症例:皮膚掻痒症・アレルギー性鼻炎(鼻閉)

    35歳 女性 165cm・54kg


    【病歴・症状】

    季節の変わり目になると毎回、顔が乾燥し、赤くかゆくなるという症状を数年間繰り返していた。
    特に、目の周囲や眉の上に紅斑が出やすく、体調が悪い時や辛いものを食べた後にはこめかみに蕁麻疹が一時的に出る。
    また、食後や入浴後のほてりやかゆみにも悩まされていた。

    さらに、慢性的に鼻閉があり、アレルギー性鼻炎や花粉症、黄砂の影響を受けて悪化することがあった。
    (鼻汁やくしゃみはほとんどなし)


    【全身状態】

    • 手足は冷えやすいが、首から上は熱くなる(上熱下寒)

    • 頬に紅斑あり

    • 体を少し動かすと全身に汗をかく(多汗傾向)

    • 目の乾燥・充血あり

    • 空腹時に胃痛があり、食べると軽快

    • 便通1~2回/日(正常)

    • 顔が乾燥するとワセリンで保護

    舌診:暗紅、苔薄黄、舌下瘀血あり
    脈診:沈弦有力


    【治療経過】

    H19.5.21 初診・煎じ薬開始

    H19.5.28(1週間後)

    • のぼせが消失

    • 黄砂の多い日にかゆみが出るが、それ以外の日は問題なし

    • 顔の乾燥とかゆみが軽減

    • 鼻閉は変化なし → 処方を一部調整

    H19.6.11(3週後)

    • 顔のかゆみ・赤みともに減少

    • のぼせなし

    • 鼻閉も初診時より軽快

    H19.7.9(7週後)

    • かゆみは完全に消失

    • 鼻閉もさらに改善

    • 左眉頭上に軽い赤み残存

    • 頬の赤み・乾燥なし

    • 体調も安定

    H19.8.10(約3ヶ月後)

    • 顔のかゆみ・乾燥・のぼせすべて消失

    • 鼻閉もなく、非常に快適

    • 現在も同処方を継続中


    【考察】

    本症例は、上熱下寒・血行不良・自律神経のアンバランスを基盤とする皮膚掻痒症である。
    顔のほてり・紅斑・かゆみ・のぼせといった「上部の熱」は、気血の巡りが滞ることで上衝したものであり、
    一方で足や手の冷えは「下部の虚寒」を示していた。

    治療では、

    • 上部の熱を鎮める

    • 下部の冷えを温め巡らせる

    • 血の滞り(瘀血)を除く
      という3方向から整えた結果、短期間で皮膚と鼻の両症状が安定した。

    のぼせ・鼻閉・肌荒れ・冷えといった一見異なる症状も、
    中医学的には「気血のアンバランス」という共通の根から生じており、
    その根を整えることで全体が自然に回復していくことが示された症例である。


    【患者の言葉】

    「顔のかゆみがなくなって、鏡を見るのが楽しくなりました。
    鼻も通るようになり、のぼせもなく快適です。」

  • Q

    疲れると皮膚が敏感になります。

    症例:刺激性接触性皮膚炎(毛染めによる皮膚炎)

    63歳 女性 153cm・51kg

    【病歴・経過】

    96歳の義母を30年間介護し、その後も義弟の介護を半年続けていた。
    心身ともに疲労が蓄積していた平成19年3月下旬、毛染めを使用した直後から
    顔全体が赤く腫れ、かゆみを伴う皮膚炎を発症。

    皮膚科で処方されたステロイド軟膏を塗るとその日は落ち着くが、翌日には再び悪化。
    「治ってはぶり返す」を繰り返し、改善が見られず6月15日初診


    【自覚症状】

    • 顔面紅斑・かゆみ・滲出液あり(額・まぶた)

    • 唇のひび割れ

    • 乾燥肌

    • 冷え性(手足冷、首から上に汗)

    • 肩こり

    • 食後の眠気

    • 胃がやや弱い

    • 食欲正常、便通1回/日、夜間尿1回

    • 素体は元気

    舌診:淡紅、胖大、歯痕、苔薄黄膩
    脈診:浮弦有力


    【治療経過】

    6月15日 初診・煎じ薬処方開始

    6月22日
    「こんなに早く効くとは!」と患者。

    • 顔の赤みが薄くなり、かゆみが消失

    • 皮膚がツルツルして白くなった

    • ジュクジュクしていた皮膚が乾燥へ転化

    • 舌:淡紅・胖大・苔薄白

    → 処方継続

    7月12日
    顔の皮膚はさらに落ち着く。
    1度、甘エビを食べた後に赤みが再燃したが軽度で自然に改善。
    ジュクジュクは完全になくなり、カサつきのみ。

    7月26日
    皮膚は安定し、落屑もない。
    患者:「ステロイドは一時的に良くても翌日悪化してショックでしたが、
    先生の薬は自然に、はっきり良くなっていくのが嬉しい。
    ゆっくり、でも確実に治っていくのを実感しています。」

    9月6日
    何も化粧しなくても肌がきれいに。
    さらに爪の黒い線が消失
    全身の血行・代謝も改善したと考えられる。


    【考察】

    本症例は、毛染め剤による刺激性接触皮膚炎が発端だが、
    根底には「介護による長期疲労」「冷え」「気血の巡りの悪化」が存在していた。

    漢方治療では、単なる抗炎症ではなく
    **「血流を整え、免疫・代謝のバランスを回復させる」**ことを目的とした結果、
    短期間で皮膚の自然治癒力が回復したと考えられる。

    ステロイドで抑える「速いけど戻る」治療ではなく、
    「ゆっくりだが確実に治っていく」漢方の特長が顕著に現れた症例である。


    【患者の言葉】

    「ステロイドではまた悪くなってショックでしたが、
    先生の薬は自然にきれいになっていくのが嬉しい。
    しかも、化粧しなくても肌が白くきれいに見えるようになりました。」

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●当院で使用している鍼は全て使い捨てにしております。
●当院はステロイドを使わず治療します。

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